解剖学史・医学史
歴史を紐解き、人間理解を深める
加藤、坂井
西洋医学は古代ギリシャ・ローマから始まり、解剖学により人体の構造を探求し、19世紀からさまざまな科学的探求を加えて急速に進化・発展して現代の高度な医学を作り上げた。解剖学は現代医学の原点そのものである。
2世紀の古代ローマのガレノスが著した現存する最古の解剖学書をギリシア語原典から読解・翻訳し、16世紀のヴェサリウスの『ファブリカ』を経て解剖学が発展した過程を研究している(解剖学史研究)。また日本における医学教育が、漢方を中心とした医学から明治維新後に西洋医学を取り入れながら日本の社会にマッチした医療を築いてきた過程、ヨーロッパの医学教育が、中世以来の伝統的な医学教育から19世紀に基礎医学と臨床医学からなる近代的な医学教育へと再編成され分化・発展した過程を研究している(医学教育史研究)。さらに日本と世界の医学・医療の歴史を俯瞰する著作を準備中である。
近年の論文・著書
- 加藤公太, 坂井建雄
19世紀における西洋美術解剖学の歴史:日本の美術解剖学の前史として
日本医史学雑誌. 2017; 63(1): 23-42 (2018年、第24回富士川游学術奨励賞を受賞) - 坂井建雄
サレルノ医学校─その歴史と意義
日本医史学雑誌. 2015; 61(4): 393-407 - 坂井建雄
18世紀以前ヨーロッパにおける医学実地書の系譜─起源から終焉まで
日本医史学雑誌. 2015; 61: 235-253 - 坂井建雄
図説 医学の歴史
医学書院, 2019刊行予定 - 山田弘明, 安西なつめ, 坂井建雄 他 (訳)
『デカルト医学論集』
法政大学学術出版会, 2017 Mar - 坂井建雄, 池田黎太郎, 澤井直 (訳)
『ガレノス 身体諸部分の用途について1』
京都大学学術出版会, 2016 Nov - 坂井建雄
図説 人体イメージの変遷
岩波書店, 2014 Mar - 坂井建雄(編)
日本医学教育史
東北大学出版会, 2012 Feb - 坂井建雄(編)
人体観の歴史
岩波書店, 2008 Sep
(2009年、矢数医史学賞を受賞)